お寺で〝車座〟勉強会 開催レポート /令和4年4月22日(金曜日)
〝生きる〟をテーマにした勉強会は数あれど、〝死〟をテーマにした勉強会は、そうありません。「車座勉強会」は〝死〟に近いところで職務にあたる、医療、福祉、介護、葬儀、納棺、宗教の人たちがお寺に集まり、〝死〟について、それぞれ思い思いのことを語りました。
テーマが漠然としていることもあり、特別な成果を得るまでには至りませんが、これだけの人たちが集まった事実はとても大きな意味があると自己評価位しています。
【企画の目的】
今回の企画は、医療・介護・葬儀・宗教に関わる人たちが集い、患者さまや介護サービスの利用者さまが、亡くなりそうなとき、また、亡くなったときに、さらには亡くなったあと、それぞれの立場で、患者さまや利用者さま、ご遺族さまの苦痛や不安を解消するために必要な考え方や具体的な技術、また、抱えている問題点や課題、忘れられない事例などを、各職種の発表者の意見を聞いて学び、さらに他職種連携の手がかりになることを目指し、また、自らのお仕事に向き合う活力にすることが目的です。
【レポート】
*当日は、約50名の参加者がお越しになられ、その中において、看護師、ケアマネージャー、葬儀社、納棺師、宗教者という順で、それぞれの分野で活躍している意見発表者が代表として話をしてくださいました。
*看護師さんの発表では、事業所に所属する看護師さん全員が一人づつ意見を話してくださり、患者様の在宅での訪問看護業務の詳しい内容や、懸命に看護したのちに待っているのは死であることの複雑な心境、また、患者様が亡くなったあとのご遺族支援を模索しているといった内容で、勉強会の序盤から、死というテーマに沿った思索の深い意見を聞くことができました。
*ケアマネージャーさんからは、医療と介護をつなぐ役割の重要性について、利用者さまの生前の人柄を詳しく知り得る立場として、アセスメントをキーワードにして話をしてくださいました。
*葬儀社さんの話は、葬儀にかかる費用について、普段ではなかなか知ることのできない内訳や、医療や福祉介護の支援にかからない死というものについて、どのような死でも、最後は「有終の美を飾る」という葬儀社の使命を聞かせていただきました。
*納棺師さんからは、亡くなった人をきれいにして差し上げるための技術的な話を中心に、人が亡くなってから、体や顔がどのように変化していくのか、その過程を詳しく聞かせていただきました。
*宗教者からは、死というものを宗教ではどう考えているのか、意見を発表した宗教者自身の宗教体験をベースに、誰しもが死を迎えなくてはならない普遍性と、果たして死は無になるのかという難問に対する思惟を語ってくださいました。
*それぞれの意見発表者が話をしたその後は、勉強会全体で、ファシリテーターの用意した各分野に対する質問などをベースにして意見交換を行いました。参加者そのほとんどが、医療、福祉、介護、葬儀、宗教に関わる人たちで、話し合う内容は、仕事上で向き合う〝死〟についての考え方に絞ることで、漠然としたテーマでありながら、どの職業の人たちも、死と向き合うために真摯な姿勢で取り組んでいることを知ることができ、仕事に対する希望と勇気を頂いたような心強い気持ちになりました。
【質問集】
『医療職への質問』
・死は苦しいものか? 痛いものか?
・例えば癌の場合、かなりピンポイントで余命が示されるが、明日、明後日とわかるものか?わかった場合の接し方に注意していることは何か?
・治療できない、しないという状況で、看護師の役割で大切なことは?
・患者さまが明日亡くなると分かった場合どのように応対するか?
・亡くなる瞬間に仕事として居合わせることも多いと思うが、気持ちを切り替えるためにしていることあるか?
・在宅か院内か、それぞれの良い面と悪い面とあるか?
・在宅支援で介護職に求めるものはあるか?あるとすれば何か?
・亡くなってからする処置とは具体的に? エンゼルケア?
『医療職/介護職への質問』
・葬儀や供養などは重要と感じるか?
『ケアマネへの質問』
・在宅でのターミナルケアで、医療職と介護職が連携するために重要なポイントは何か?
『ケアマネ/ヘルパーへの質問』
・治療できない、しないという状況で 介護職の役割で大切なことは?
・在宅支援で利用者さまが穏やかに過ごされていると感じるか? 不安に感じてることはあるか?
・在宅支援の場合利用者との精神的距離が近いが、注意することはあるか?
・利用者が亡くなったあと、気持ちを切り替えるためにしていることは?
『葬儀社/参加者全員への質問』
・葬儀はだれのためにあるのか?本人?遺族?どう考えるか?
『葬儀社への質問』
・事前に葬儀準備することは重要。本人や家族にどう説明するのが良いか?
・医療や介護職が、患者や利用者の葬儀に参列することはあるか?あるとすればどのような場合か?
『納棺師への質問』
・納棺師の具体的な仕事とは?
・納棺師といえば、映画おくりびとと連想する人も多いが、影響は大きいか?
・映画と実際に違いはあるか?
『宗教者への質問』
・死後の世界はあるのか?
・供養とは何をするのか?
・霊は存在するのか?
・なぜ死んだの?という問いになんと答える?
『参加者全体への質問』
・自分が死んだことを想像したらどうい気持ちが湧くか?
・大事な人が亡くなったとき、亡くなりそうなとき、心の持ち方としてどうするか、何を頼るのか?
【会場となる〝西栄寺本堂〟の様子】