お寺の介護について

西栄寺 山田博泰住職

少子高齢化社会においては、さまざまな社会的資源を活用しなければ、支援を必要とするすべての人に手当てすることはできません。
社会福祉の歴史を紐解くと、その原点は、地域信仰に根ざした民衆の互恵精神に由来しており、その中心では〝お寺〟が大きな役割を担っていたことが史実として確認されています。
お寺や僧侶は元来、民衆の死中求活の叫びに応じて文化、教育、福祉など多岐にわたり社会的資源としての使命を果たしていたのです。
私たち西栄寺は、浄土真宗の教義を檀信徒とともに学ぶと同時に、元来のお寺が担ってきた〝地域のお役に立てるお寺〟を目指して、今後も地域の社会福祉事業の枠組みの中で、超高齢化社会を支えて邁進していきます。

介護福祉部長 吉田敬一

宗教法人としての西栄寺が介護事業を行うにあたっての始点に、檀信徒の高齢化が挙げられます。
檀信徒の高齢化は顕著で、介護や看護を必要とする檀信徒世帯が増加し、世帯内の支援策を、西栄寺も一緒に考え行動する必要性を感じるようになりました。

実際に事業化するにあたり第一の経緯として、2011年4月、山田住職を含む選抜した四名の僧侶がホームヘルパー2級の講座を受講し、その知識が布教活動へどのように活かされるか、また檀信徒との関係強化に繋がるかを検証してきました。
たとえば、訪問布教の際、車椅子で散歩に同行したり、お買い物に同行し、お部屋のお掃除をお手伝いし、また、介護をしている家族の話などを聞いたりと、檀信徒の日常にあふれる不便や悩みに寄り添うことで、檀信徒との関係を強める可能性を見出しました。

第二の経緯は、 僧侶が訪問布教の片手間に生活支援を行うだけは解決しないような問題には、より専門性が高く介護技術のある職員を採用することが必要であり、そのためには、僧侶と介護の専門職がどのように協働するかを検討しなければなりませんでした。
その中で、私たちには最初から一貫して「お寺が主体となって介護を行う」という思いがあり、それに基づき〝宗教法人〟自らが介護指定業者の認可を取得することで、〝お寺が主体のお寺らしい介護〟の実現を目指し、それに賛同する介護専門職員を募り、お寺の介護福祉事業の基盤と方針を固めていきました。

2014年7月に訪問介護事業所と障がい福祉サービスを開業したことを皮切りに、翌年の2015年9月に居宅介護支援事業を開業、2017年12月には通所介護事業とサービス付き高齢者向け住宅事業を同時に開業し、複合型の居宅サービス事業として、これ以上ない体制を整えることに至りました。

このような経緯を辿る中で、私たち西栄寺が、宗教法人としての介護事業で最も重要と考えている点は、檀信徒の生老病死にかかる表出し難い悲嘆や苦悩に向き合うため、浄土真宗の教義とともに、仏教的な思想を基にした介護福祉を模索し続けることにあり、そこで生み出されたお寺の介護らしい福祉支援策を実践し、その結果として、檀信徒の生活の質の向上を図ることにあります。